リチウムイオン電池正極の成分分布観察

▲リチウムイオン二次電池正極のラマンイメージング
正極表面における成分分布をわずか20分でイメージング
上の画像は、リチウムイオン二次電池の正極をラマン顕微鏡で分析した画像です。活物質であるコバルト酸リチウム(LiCoO2)と導電助剤である炭素(アセチレンブラック)を、それぞれ赤と青でカラー表示しています。350nmという高い空間分解能で、広範囲における成分分布をわずか20分でラマンイメージングしています。
■測定に用いたサンプルについて
アルミ箔の両面にコバルト酸リチウム、アセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデンを、N-メチルピロリドンで混練して塗布し、乾燥させたものです。
正極表面における成分分布観察
下のグラフでは、得られたラマン画像内で任意で選択した個別領域(右下画像内の赤枠、青枠)内の平均ラマンスペクトルを表示しています。赤枠内のスペクトルには、コバルト酸リチウム由来の2つのピーク(485cm-1、597cm-1)が見られます。一方、青枠内のスペクトルには、カーボン由来の2つのピーク(1350cm-1、1590cm-1)が見られます。

▲任意で選択した2つの領域(右画像内の赤枠、青枠)それぞれの平均ラマンスペクトル
劣化後の正極表面における成分分布観察

▲レーザー光で劣化させたリチウムイオン二次電池正極のラマンイメージング
上の画像は、レーザー光で劣化させたリチウムイオン二次電池の正極を、先ほどと同じ視野においてラマン顕微鏡で分析した画像です。電極の劣化に伴い、コバルト酸リチウム(赤)とアセチレンブラック(青)に加え、酸化コバルト(緑)が生成していることが見て取れます。
下のグラフでは、得られたラマン画像内で任意で選択した個別領域(右下画像内の赤枠、青枠、緑枠)内の平均ラマンスペクトルを表示しています。電極の劣化に伴い、コバルト酸リチウム(赤)とカーボン(青)のスペクトルに加え、緑枠内に、低波数領域に複数のラマンピークを持つ新たな成分が生成していることが分かります。低波数領域について拡大してラマンスペクトルを見てみると、緑枠内のスペクトルは、酸化コバルト(Co3O4)由来のピーク(482, 522, 691cm-1)を含んでいることが分かります。


▲(上)任意で選択した3つの領域(赤枠、青枠、緑枠)それぞれの平均ラマンスペクトル。
(下)赤枠と緑枠の平均ラマンスペクトルのうち、低波数領域を拡大したもの。
光学顕微鏡画像とラマン画像の重ね合わせ

▲光学顕微鏡画像とラマン画像の重ね合わせ。(左から、ラマン画像の透明度100%、75%、50%、0%)
RAMAN-11では、ラマン測定後に、取得したラマン画像を光学顕微鏡画像に重ね合わせて表示することができます。ソフトウェア上で、スライダーを左右にドラッグするだけで、ラマン画像の透明度を自由に調節することができます。
このように、電極材料の成分分布をわずか20分程度でイメージングできるRAMAN-11は、二次電池材料を分析し、評価する強力なツールとなります。

