ラマン顕微鏡とは

可視光が分子に当たって散乱される光を精密に計測すると、そこには分子の振動によって周波数変調を受けた成分を含んでいます。このような光散乱をラマン散乱と言います。分子・結晶の振動モードにより、波長変調は固有で、この波長変調を分光器によって調べることにより、その組成分析や結晶構造情報を得ることが可能です(ラマン分光)。この分析法が顕微鏡と融合し、極めて局所的な部分の成分分析や結晶状態などを知ることができるようになった装置がラマン顕微鏡です。

ナノフォトンのラマン顕微鏡では、ある一点の分析を行うのでなく、走査をすることにより、画像によって可視化した分析結果が得られます。ラマン散乱光の励起光波長からのスペクトルシフト量は極めてわずかであるので、高いスペクトル分解能を持つ分光器を用いなければ、それらを検出することはできません。しかも、ラマン散乱能は蛍光顕微鏡より14桁、赤外顕微鏡より10桁低く、通常の光源と検出器では信号を得ることが困難です。

一般的なラマン分光分析装置

 

ラマン顕微鏡の画像

画像は細かな点(画素)が集まって形成されています。 レーザーラマン顕微鏡の画像では、スペクトルが画素になって画像を形成しています。このような画像をスペクトル画像といいます。

▲レーザーラマン顕微鏡ではスペクトル画像が得られる

 

ラマン画像は物質の分布を示しています。下の図は物質の違いを色を変えて表示している画像の例です。下の画像は、リン酸カリウムとグルコースがガラス基板上に分散した様子を捉えています。青く表示されているのがリン酸カリウム、黄色く表示されているのがグルコースです。それぞれに特徴的なピークの強度から画像を構成すると、物質の分布がわかります。

ラマンシフト

 
 

ラマン顕微鏡で観察すると、物質の分布状態は一目瞭然。通常の顕微鏡では区別のつかない物体もカラーで物質がわかれて表示されます。下の図は2種類の粒子が混ざったサンプルの画像です。通常の顕微鏡では粒子の違いはわかりません。ラマン画像ではその差は歴然。複数の紫色の粒子の中に緑色の粒子が混じっている様子がラマン画像からはっきりと区別できます。

紫色:ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物
緑色:ポリスチレン粒子

通常の顕微鏡画像とラマン画像