ラマン分光分析テクニック

測定テクニック編

第1回 試料を準備する

掲載日 2013年7月10日

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レーザーラマン顕微鏡ではどのような試料が測定できるのでしょうか? また、どのような前処理が必要なのでしょうか? このページでは測定可能な試料および、簡単な前処理について説明いたします。

 

試料の大きさや必要最小量について

レーザーラマン顕微鏡に使用される顕微鏡本体は、一般的な光学顕微鏡です。よって、スライドガラスに載せることができる試料の大きさをイメージしていただければ間違いありません。 以下に、目安として設置可能な試料サイズ、および必要な最小試料量を示します。

 
設置可能な試料サイズ

厚み;2.5cm以下
平面サイズ;およそ10cm角以下
写真の例は4インチウェハーです。なお、これらは光学顕微鏡本体の仕様に依存します。詳しくはお問い合わせください。

設置可能な試料サイズ
必要な最小試料量

1点のラマンスペクトルを確認するだけならば、微粒子(直径数μm)でも測定可能です。



最小試料量
 
 

試料の前処理について

1点のラマンスペクトルを測定する場合、平面だしは不要です。 一方、ラマンイメージを測定する場合には、ある程度平らな表面にしておく方が望ましいです。 測定範囲全体にわたってピント合わせが簡単になり、広いイメージング領域での測定が可能になります。 以下の例では、固体試料、傾斜のある試料、紛体試料、ゾル系試料の平面出しについて説明します。

 
固体試料の平面出し

サンドペーパーにより表面を整えます。 600番以上のものを使用して整えると、きれいなラマンイメージが取れます。 写真の例は、カーブしている錠剤の表面を研磨した例です。

錠剤の平面出しの例
 
傾斜のある表面

平面は出ているけれども、そのまま設置した時に傾斜が出てしまう試料の場合には、傾斜を補正するステージや、顕微鏡用のバイスを使用します。

 
傾斜補正ステージ
顕微鏡用バイス
 
粉体試料(表面に凹凸がある試料)の平面出し

ポイント照明を用いて1点のラマンスペクトルを測定する場合には、凹凸があってもあまり問題になりません。 ラマンイメージングを測定する場合、スライドガラス等にとった粉体試料にカバーガラスをそっとのせてそのまま測定するか、のせたカバーガラスをそっと取り除いて測定します。 粉体試料表面の凹凸をトレースしながらのラマンイメージについては、別途、3D-Build機能などを使うと測定が可能です。

 
紛体試料平面出しなし
紛体試料平面出し(カバーガラス使用時)
紛体試料平面出し(カバーガラス取り除き後)
 
ゾル系試料の平面出し

試料をスライドガラスなどにとり、カバーガラスをそっとのせてカバーガラス越しに測定します。測定中の水分蒸発などを抑制できると同時に平滑表面が得られます。 カバーガラスを取り除いて測定する場合は、カバーガラスを一定の速さで横にスライドさせ平滑表面を出します。 写真はマヨネーズ試料の平面出しの例です。

 
紛体試料平面出しなし
紛体試料平面出し(カバーガラス使用時)
紛体試料平面出し(カバーガラス取り除き後)
 
 

注意が必要な試料固定用小道具

試料の固定にテープや粘土を用いることがありますが、注意点があるのをご存知でしょうか?以下では、両面テープ、カーボンテープ、粘土を使用する際の注意点を説明します。

 
両面テープ

粘着剤が落ち着くまで試料がずれるおそれがあります。 取り付け後、数時間おいてから測定すれば、100倍の対物レンズでも十分測定できます。

両面テープによる固定の例
 
カーボンテープ

透明なフィルムをカーボンテープ上に貼って固定すると、フィルムよりも先にカーボンテープが焼けてしまい、測定できません。 試料の両端に取り付けるなどして、測定に支障がないようにします。

 
間違ったカーボンテープによる固定
正しいカーボンテープによる固定
 
粘土

傾き補正に有効な場合がありますが、粘土の塑性変形によるずれには注意が必要です。 長時間の測定などで、ずれが問題になる場合には、他の固定法をおすすめします。

粘土による固定