代表取締役会長 河田 聡

社名である「ナノフォトン」という名前は、知人に譲ってもらいました。フォトンでナノを観察する顕微鏡の会社を表すのにぴったりの名称だと思っています。このネーミングは、他社と比べて実はちょっと自慢なんです。会社のネーミングは大切です。

社名にはそれぞれ創業の思いとその後の歴史が刻まれます。個人商店から始まった会社は、創業者の名字と、その後に商売の内容が付きます。上田酒店とか山口薬局みたいなもので、かつての松下電器産業とか豊田自動織機やEdison General Electric、いまでも武田薬品工業、竹中工務店、Ford Motorなどがそうです。会社が有名になると名前は短くなります。東京通信工業は「ソニー」、日本光学工業は「ニコン」、津村順天堂は「ツムラ」になりました。Apple Computerも2007年に「Apple」になりました。コンピュータという業種名を外した方がより自由になれます。International Business Machinesはいまでは通称の「IBM」の方がよく知られています。Bayerische Motoren Werkeは「BMW」、Minnesota Mining and Manufacturingは「3M」が正式名称です。簡単な方が言いやすいし憶えやすいのですが、何を扱う会社なのかわかりにくいという問題もあります。たとえば野球チームの「DeNA」が何を意味して何を売っているのか私はよく知りません。若い人には総合商社の「双日」の意味や業務を知らない人もいるかもしれません。

日本には長い名前の会社があります。複数の会社が合併してそれらの名前を連ねただけのネーミングは特に銀行系に多いように思います。合併前のどの会社とも無関係な名称が選ばれていることもあります。ひらがなにしたり辞書にないことばです。市町村名は由緒ある名前がよいと思いますが、それらが合併した後にはひらがなや歴史感のない名前が選ばれます。

ネーミングとは難しいものです。

話題の「希望の党」の名称は過去よりも未来志向をイメージさせ、立ち上げた人たちの思いを示すいいネーミングだったと思います。一方、排除された人たちの集まりの党名はイデオロギー的ことばが二つ並び、古いイメージです。ソビエト連合の崩壊すら四半世紀以前のことですから、政党の未来はもはや右か左かのイデオロギーよりも、大きな政府か小さな政府か、既得権益か新規参入か、規制強化・ローリスクか規制緩和・ハイリスクか、などの選択と決断だと思います。ナノフォトン社はもちろん、小さな会社、新規参入、ハイリスクを選択しました。この選択の決断でもって、新しい科学である「ナノフォトニクス」をビジネス化し、顕微鏡の未来を切り拓きたいと思っています。

2017年11月20日
ナノフォトン株式会社
代表取締役会長 河田 聡