第12回会長室から『Genovaの橋』

代表取締役会長 河田 聡

今年最後の海外出張は、北イタリアのジェノバでのラマン顕微鏡の講演でした。ジェノバはイタリアの国立研究所がある町ですが、それよりもアメリカ大陸発見のコロンブスが生まれた町として知られています。ジェノバ港はイタリア最大の貿易港です。地中海に面した崖っぷちの山岩を削って何世紀も掛けてできあがった立体的な街並みは美しく、私の最も好きな街の一つです。歩くには急すぎる坂道や建物の上を通る陸橋やトンネルが複雑に交差し、道路の途中にはエレベーターまであります。しかも、観光客が少ないのがいいですね。

そのジェノバで今年の8月、高さ50メートルのつり橋が崩壊しました。フランスとイタリアをつなぐ高速道路の途中の高架橋で、私がジェノバに来たときにはいつも通る道です。山の中腹のトンネルから出ると、いきなりこの橋からの絶景が現れます。それが突然に崩れ落ちて、数十台の車が落下して43人が亡くなりました。日本でもテレビで大きなニュースになりました。国立研究所の友人によれば、潮風にさらされてコンクリート鋼材の腐食が進んでいたそうです。優れたデザインだけども構造は脆弱だとも言われていたそうです。危険性が指摘されていたのにもかかわらず、イタリアは財政危機で予算が足りず、政権は不安定で、鉄橋の下に住む人たちは補強工事の騒音を嫌い、補強工事が間に合わないままに崩壊してしまいました。その後は政治化してしまって、復旧工事は始まっていません。

橋やビル、トンネル、堤防などに突然に崩壊が起きることは、完璧には防ぎ得ないことです。そのとき大切なことは、トラブルから逃げ出したり責任の押しつけあったり非難の応酬をするのではなく、立場の違う人々が互いに補い合い協力しあって問題を解決することだと思います。

ナノフォトン社は今年になって売上げが急増し、営業も製造もサービスも限界を超える忙しさです。そうなると、売上げ台数の増加に応じて出荷前・出荷時のトラブルも増えます。仮にトラブルが起きたとしても、ナノフォトン社では社員みんなが互いに補い合って協力しあって、問題解決をしていきたいと思います。

ナノフォトンの近くにある大阪・箕面の瀧道が、先日ようやく復旧しました。昨年の秋の台風21号で土砂崩れなどの大きな被害を受け、さらに今年の秋の大地震とその後の台風による被害を受けて1年以上不通でした。滝道から見る渓谷や瀧安寺の堂宇には今も災害の傷跡が深く残されており、災害当時の木々と野生の動物と人々の恐怖を覚えます。

今年一年は、世界中で記録的な災害や多くの紛争がありました。人の知恵とはこんな時にこそ問題解決に向けて発揮されるべきだろうと思います。今年も一年、ナノフォトンをご支援いただきありがとうございました。

2018年12月27日
ナノフォトン株式会社
代表取締役会長 河田 聡