RAMANwalkを操作する小林実・取締役技術担当

ナノフォトンが今年4月に発売したラマン顕微鏡の新製品「RAMANwalk」は、従来の走査型ラマン顕微鏡に比べ5~10分の1の測定時間で画像が得られます。しかも、ナノフォトンで初めてとなる中価格帯の製品で、より購入しやすくなりました。では、どのような仕組みで高速測定を実現したのでしょうか。大阪府吹田市の同社R&Dセンターで実演してもらいました。(メルマガ編集長・根本毅)

コンパクトで洗練されたデザイン

ナノフォトンのこれまでの製品と同じように、RAMANwalkは白を基調にしたシンプルで洗練されたデザイン。サイズもコンパクトです。小林実・取締役技術担当によると、安定した光学系を実現するためコンパクトな筐体を目指したそうです。

筐体に使われるアルミニウムは、温度が1℃上昇すると1m当たり23μm伸びる性質があります。「大きいと筐体が温度変化の影響を受けやすく、測定前に調整が必要になります。しかし、コンパクトなナノフォトンの製品は頻繁な調整が不要です」(小林取締役)

ランダム・ウオーク・スキャンを採用

ラマン顕微鏡は、試料にレーザーを当て、出てきたラマン散乱光を解析して画像化する仕組みです。最大の弱点は、測定に時間がかかることでした。測定範囲の上端から横方向に直線的にスキャンし、もう一方の端に着いたらその下を平行にスキャンする方式だったため、一番下までたどり着かなければ測定は終わりませんでした。

しかし、RAMANwalkで取り入れた「ランダム・ウオーク・スキャン」は違います。端から順に測定するのではなく、まずランダムに1カ所を測定し、その周辺も何点か測ります。探している波長が検出されたら引き続き周辺を測定し、検出されなければランダムに別の場所を測定する――ということを続けます。

「探している波長」という言葉が出てきましたが、ランダム・ウオーク・スキャンは、ラマン散乱光の波長のピークが分かっている物質の分布を調べる場合に威力を発揮します。

目的の物質があれば重点的に測定し、なさそうな場所はさっさと測定を切り上げる――。この方式を採用し、測定時間の短縮に成功しました。「10%の時間で99%の情報が得られる」。小林取締役はそう説明しています。

サンプルをわずか2分で測定

百聞は一見にしかず。メタクリル樹脂のビーズをスライドガラスに付着させ、測定してもらいました。

測定結果はリアルタイムで表示される

スライドガラスをセット後、パソコンで測定範囲を選択し、パラメーターを設定して測定開始。すると、リアルタイムで画面に測定結果が現れます。目的の波長は緑で、それ以外は赤の点で示され、ランダムにスキャンする様子が分かります。次々と緑や赤の点が増えていき、2分もすると大体の測定が終わりました。測定していない部分を補完した予想結果も表示できます。

デモを受付中

製品の詳細はこちらのページをご覧ください。希望者にはRAMANwalkのデモも行っています。問い合わせフォームはこちらです。

今年5月からメルマガ・ナノフォトンの発信に携わっていますが、それまではラマン顕微鏡やナノフォトンの製品についてほとんど知りませんでした。今、学びながら走っている状態です。今回、実際にRAMANwalkの測定の様子を見せてもらい、「百聞は一見にしかず」を実感しました。(メルマガ編集長・根本毅)