RAMANview 導入実績レポート

第3回

神戸大学 大学院人間発達環境学研究科 人間環境学専攻
谷 篤史 准教授

ガスハイドレート研究にラマンを活用

私たちは、ガスハイドレートという水でできた籠の中にガスが入っているような物質の研究を行っています。その典型的なものの一つに、メタンハイドレートという、日本近海の海底下に眠っている 「燃える氷」と呼ばれているものがあります。いつ、どうやってできたのかを知るために、ガスハイドレートの研究を始めました。

ガスハイドレートの中で起こる、化学反応などを研究していますが、現在ではガスハイドレートは地球上にだけでなく地球外にもあるだろうと推測されています。 地球でガスハイドレートが存在するためには、ある圧力・温度という状態が必要であることが分かっています。地球以外の場所、例えば木星の衛星エウロパや土星の衛星エンセラダスには、氷地殻内部に海があり、内部は圧力が高い。そこにガスが発生していれば、ガスハイドレートが存在する可能性があり、ガスと水が織りなす現象をきっちり追いかけていきたい、ということで研究をしています。

ガスハイドレート分析にはラマンが欠かせない

ガスハイドレートの分析には、ラマン分光法がとても有用です。中に入っているガスは、周囲の分子とあまり相互作用しないため、ラマンのピークがきれいに見えます。ガスハイドレートの分析のためには、測定装置内で海底下のような圧力がかけられるという点と、溶けてしまっては困るので温度がそんなに高くないという点、このような低温高圧で分析できることが非常に重要です。

ガスハイドレートの代表例のメタンハイドレートでは、十二面体と十四面体のカゴ構造中にメタンが入っているのですが、十二面体中のメタンと十四面体中のメタンで、ラマンピークの出る波数が変わります。更にフリーで存在するガスともピークの出る波数が違います。ガスの種類によってもラマンピークの出る波数が変わることから、ラマン分析を行うことにより、それぞれのガスがどこにどんな比率で存在しているのかがわかります。十二面体中と十四面体中のガス比が1:3になっているかということが、メタンハイドレートかどうかを確認するひとつの方法になります。X線の構造解析という方法を取らなくても、結晶構造まで特定できる点がとても便利ですね。


ライン照明+広視野スコープは世界にRAMANviewだけ!

天然のガスハイドレートも、自分たちで作ったガスハイドレートでも、だいたい大きな塊なのですが、その大きな塊が本当に全部同じものでできているのかということを調べようとした場合、普通の顕微ラマンではそこまで大きなものは観察できません。しかもガスハイドレートの表面を研磨することは容易ではありません。実体顕微鏡みたいなものでラマン測定したいな、と思って調べている時にナノフォトンの広視野ラマンスコープRAMANviewに出会いました。装置を自分で作ろうと最初は思っていたんですけれど、このRAMANviewを見つけたとき、これは使えると思いました。ただ予算が必要なためすぐに導入はできませんでしたが、予算を申請しているうちに装置がライン照明までできるようになり、本当に嬉しかったです。私たちの研究しているメタンハイドレートは-80℃で分解がはじまるため、ガスハイドレートを液体窒素に浸けて測定していました。初めてデモ機でイメージ測定をさせていただいたときには、ポイント照明のみであったため測定に1時間以上かかってしまい、このままでは導入は難しいと考えていました。その後検討をすすめている間にナノフォトンさんがライン照明もできるように開発してくれていたのです。ライン照明があるとないとでは、全然違いましたよ。同じ時間で撮れる画像分解度も全然違います。