2009年お正月のメッセージ
頑張って!

学生やスタッフとのミーティングの後に出る言葉はいつも、「じゃ あね、頑張って!」。英語には「頑張る」という言葉がありませ ん。和英辞典では「Do your best!」「Work hard!」 ですが、これはかなりのプレッシャー。日本人はプレッシャーに弱 いのに、プレッシャーが好きなようです。これが英語なら 「Take care」になるのでしょうか。

昨年後半は、サブプライムローンの破綻でアメリカの市民には大変な一年でした。アメリカの皆さん、「頑張って!」

でもなぜか、騒ぎは日本の方がより大きいような気がします。仕事を失った人には申し訳ないのですが、日本ではまだ多くの人は仕事を持ち給料も貰っています。失業しても、日本には失業保険制度があります。しばらくは大丈夫、そのために失業保険があるのです。内定取り消しだって、そんなに驚くことではないと思います。内定とは、会社が来年も存続して人を採用する余裕があればあなたを採用することを内々にお約束します、って意味でしょう。景気や会社の先の状態を考えずに、あまりに早く採用を約束しすぎたのがいけないのです。これに懲りて青田買いが少しは修正されるのかと思い きや、就職担当の教授(私)のところへは12月からその再来年のご挨拶に企業がお越しになられます。一体、日本は本当に不況なんだろうか、と悩んでしまいます。

テレビや新聞では、連日、不況不況と大騒ぎしています。車が売れない、株価が下がった、非正規社員がクビを切られた、給付金を2兆円もばらまいても効果がないだろう、不景気なニュースばかり。そんなに不況を宣伝すれば、景気のいい企業も普通の人もみな節約し始めるでしょう。車を買い換えるのをしばらく辛抱しよう、液晶テレビもそんな大きな画面でなくともいいや、設備投資を遅らせよう、忘年会は質素に行こう、などなどです。そんなに不況なら、テレビや新聞に広告するのも控えよう、となるはず。広告収入が減るのになぜマスコミが不況で盛り上がるのか、不思議です。マスコミが不況・不景気を煽って拡大させてきているように思います。

なぜ車が売れないのでしょうか。よく考えてみると、まだ乗れる車を売って新車に買い換えるのは資源とお金の無駄使いです。車は売れない方が、環境にいいのです。会社が不景気になると人件費をカットするのも当たり前です。就職内定を取っても就職しても、不況になれば企業が人件費を削減するのは、企業論理としては当然です。株が上がったり下がったり、暴騰や暴落をするのも当たり前です。外貨が上がったり下がったりするのも、当然のこと。これまでの円安が、あまりに異常だったのです。ポンドもユーロもウォンもオーストラリアドルもカナダドルも、あまりに高すぎたのです。あれでは、私達の財産は外貨にすれば半分の価値しかありませんでした。パリやロンドンのホテルの宿泊は、東京の同等のホテルと比べて2倍以上でした。金利を0にして極端な円安にしてトヨタやキャノンなどの輸出企業だけが巨額の富を得続けてきていたのが、ようやく収まったのかもしれません。

しばらく不況は続き、会社はリストラを続けるのでしょう。その中で日本人達はどう生きればいいのでしょうか。戦争で全てを失った日本人が、短い期間で見事にJapan as Number Oneと言われるまでに復興したのです。今回はそれと比べれば、まだまだ大丈夫。今回は、日本よりも欧米や韓国の方がはるかに大変です。古い会社が大変なら、新しい会社を作りましょう。企業に内定が決まらないなら解雇されたのなら、自立してビジネスを始めましょう。不景気なときこそ、優秀な人材が市場に溢れてきます。彼等に声を掛けて一緒にビジネスを始めてはどうでしょう。儲けのない会社に雇って貰うのではなく、儲かる会社を興しましょう。大企業病から脱却して、手に職を持ちましょう。

輸出で儲からないなら、輸入をしましょう。円高です、海外に出ましょう。世界には、まだまだ貧しくて生きていくことも大変な人たちが沢山おられます。日本で仕事がなければ世界に出て、世界の貧しい人たちに仕事の仕方や勉強の仕方を教えてあげましょう。国や会社に文句を言うばかりではなく、仲間を助けましょう。

テレビがなくても生きていけます。テレビさえ見なければ、不況なんて気づかないかもしれません。テレビを見る暇があれば、自分を磨いてください、自分を鍛えてください、個人の真価が問われる時代が、やっと来たのです。自立を目指して冒険しましょう。Take care!

追記:こんなことを言いつつ、私達が創業した会社「ナノフォト ン」も、この不況を無視することが出来ません。私達はこの不況を、ビジネスチャンスと捉えます。苦節6年、我が社もようやく儲かる会社になりつつあります。「手に職」は会社では「他にない商品と高い技術」です。私達も、「頑張れ」ではなく「Take care」でいきます。 SK