
レーザー光で物体を照明するとスペックルノイズと呼ばれる斑点模様が現れてしまいます。これはレーザー光がコヒーレントであるために生じる独特の現象で、従来避けられないものとされていました。
SK-11を使えばこのノイズを軽減することができます。SK-11 では独自の光学系(特許出願中)を採用することにより、出射側レーザー光のコヒーレンスを低下させ、スペックルノイズを減少させます。
SK-11は顕微鏡照明にも応用することができ、レーザー光の単色性をそのまま生かし色収差のない照明が可能です。また、機械的な可動部が無いので振動も発生しません。もちろん時間分解能を損なうこともありません。SK-11を使えば、スペックルの影響が非常に少ないレーザー照明を実現できます。
SK-11はホモジナイザーとしても優れています。入射光のパターンがガウシアンビームであっても出射側では均一なパターンが得られます。高価なホモジナイザーはもはや必要ありません。また、SK-11は拡大マクロ撮影にも好適です。SK-11の出射端をフレキシブルチューブ(オプション)にすれば、サンプルを任意の方向から照明することも可能です。

使用例


オブジェクティブマイクロメーターの観察像
(標準価格48万円)
噴霧の微粒化過程を高感度撮影

左:SK-11にてスペックルノイズを除去した写真 右:スペックルノイズが発生して画質が劣化した写真
上の2つの画像は、旋回ノズルから噴出されるウォータースプレーの微粒化を撮影したもので、左は撮影時にSK-11を使ってスペックルノイズを除去した写真、右はSK-11を使わずに撮影した写真です。デラバン0.85-60°Aノズルから大気雰囲気中に水を定常噴射したもので、噴射差圧は1.6MPaです。光源はYAGパルスレーザー(ビーム径3mm、出力約10mJ)を使用し、ディフューザーにて散光させて、液体が微粒化する瞬間を透過光を用いて撮影しています。SK-11を使用することでスペックルノイズが減少し、画質が向上していることが分かります。
データご提供:
豊橋技術科学大学 鈴木孝司准教授
電力中央研究所様

▲ノズルからの噴霧全体の様子(SK-11使用時)。上の画像では、赤枠で示した領域の拡大写真を比べています。

本測定のセットアップ概略図
微粒化過程の観察とスペックルノイズ
液体の微粒化技術は、自動車用エンジンにおける燃料噴霧の生成をはじめ、「噴霧塗装」「噴霧乾燥」「調湿」「粉末製造」「農薬散布」「消火」などの各種産業分野にも応用されています。とくに近年では、環境問題への配慮から、各種環境機器の洗浄や焼却炉の温度制御、脱硫や脱硝技術などへの応用が著しく、噴霧特性を高度に制御した機器の開発が要求されるようになってきました。



▲キセノンフラッシュランプ(Δτ〜1μs)で撮影した写真(上)と、YAGパルスレーザーで撮影した写真(下)。YAGパルスレーザーで撮影したほうが、より高精細に微粒化の瞬間を捉えることができますが、画像全体にスペックルノイズが発生してしまいます。
仕様
使用波長域 | 450nm~950nm 可視全域 (特別仕様:1000~1350nm, 250 nm~) |
入射瞳径 | 3-7mm(2mm以上であれば製作可能) |
出射瞳径 | 3-7mm(入射瞳径に同じ) 入出力共にバンドル後光学研磨処理済 |
光透過率 | 50%以上 (@550nm) |
装置寸法 | 縦110mm、横140mm、奥行55mm (ファイバ金具含まず) |
金具寸法 | 径14.5mm、長さ14.5mm 発注時オプションで両端(または片端)フレキシブルチューブに加工可能 |
よくあるご質問
どのくらいのスペックルノイズ抑制効果がある?
スペックルノイズの抑制効率につきましては用途によって異なります。デモ機の用意がありますので、実際に効果をご確認いただくことをおすすめします。
光の透過率はどのくらい?
標準品(対応波長域:450nm~950nm)では、波長532nmにおいて50%以上です。
レーザ光の導入方法は?
コリメートしたレーザービームを入射口にほぼ垂直に入射させてください。コリメートされた光を入射することで、出射される光の広がりを最小にすることができます。入力側の光軸調整はあまりシビアではなく、入射が多少傾いていても機能にほとんど影響がありません。また、SK-11には、入射側と出射側の区別はありません。
出射光の広がり方は?
コリメートした光を入射したときで、片側30度程度の拡散光になります。
入射および出射の瞳径は?
標準品で5mmです。カスタマイズも可能で、最小で2mm径、最大では10mm径のものの製作実績がありますが、径が小さくなるとスペックルノイズ抑制効率も落ちます。また、カスタマイズに伴い、価格も変わります。
レーザーへの耐性は?
標準品の損傷しきい値は300W/cm2です。ハイパワーレーザー対応モデルでは、損傷しきい値は1200W/cm2です。
パルスレーザーへの耐性は?
十分にテストできていませんが、10mJ/cm2・pulse(532nm, 10ns, 10Hz)程度であれば、丸1日使用しても損傷は確認されませんでした。
オプションのフレキシブルチューブの利点は?
入射口と射出口を離して配置できます。また、フレキシブルチューブの先端は本体よりも小さいので、入射または射出口の配置の自由度が高まります。チューブの長さは1mですが、カスタマイズも可能です。
FCなどのコネクタで接続できる?
入射側は接続できますが、レンズを使ってカップリングしたほうが効率は上がります。出射側はFCで接続することはできません。
電源は必要?
電源は不要です。
納期はどのくらい?
在庫がない場合は、ご発注いただいてからおよそ3ヶ月です。
価格はどのくらい?
標準品で48万円です。
回転拡散板と比較して良い点は?
可動部分がなく信頼性が高いこと。動力が不要であること。532nmでは透過率が50%であり、一般的な拡散板よりも光の利用効率が高いこと。時間的に平均化するのではないため、パルスレーザーのシングルパルスに対してもスペックルを低減できること、などが上げられます。
標準品を対応外の波長で使用するとどうなる?
標準品の対応波長域は450~950nmです。450nmよりも短い波長の光を入射させると徐々に透過率が低下してしまい、またスペックルの除去率も悪化してしまいます。強力なレーザーを入射するほど、早く劣化します。ただし、数mW程度、あるいは短時間の入力であれば、ほとんど劣化しませんので、このような使用方法をご検討の場合はご相談ください。950-1400nmの範囲の光は入射させても寿命に影響はありません。透過率の保証はありませんが、ある程度スペックルが減少します。
450~950nm以外の波長で使えるモデルはある?
特注対応となりますが、使用波長域1000~1350nmの近赤外対応モデルや、250nmから使用できる紫外対応モデルも製作可能です。
紫外用あるいは近赤外用の特注品の性能は?
申し訳ありませんが、公表できる性能データがありません。