薬効成分の結晶多形をラマン分析により判別

▲メフェナム酸の結晶多形のラマンイメージング
▲メフェナム酸の結晶多形の光学顕微鏡像
光源波長532 nmスペクトル数150,800 (400×377)
対物レンズ20倍 (NA=0.45)測定時間約20分

わずか20分で結晶多形の分布をイメージング

上の画像は、結晶形の異なる二つのメフェナム酸の混合物の分布を、高速・高分解能でラマンイメージングしたものです。赤色が結晶フォームⅠ、緑色が結晶フォームⅡの分布です。0.5mm角の範囲を、約700nmの空間分解能と約20分の測定時間でラマンイメージングしています。

■測定に用いたサンプルについて
本測定では、抗炎症、鎮痛、解熱作用のあるメフェナム酸の結晶多形をラマン分析しています。薬効成分の結晶形が異なると薬効に違いが生じるため、結晶形のコントロールは製薬プロセスにおける重要課題となっています。結晶形を識別する分析手法として、X線回折やラマン分光がありますが、ラマン分光は、真空の準備がいらない簡便さからスクリーニング用途に用いられてきました。

Application note
→こちらもご覧ください|製剤中の結晶多形のラマンイメージング分析

▲メフェナム酸の分子構造

メフェナム酸の結晶多形のラマンスペクトル解析

右に示したスペクトルは、メフェナム酸の結晶多形のラマンスペクトルです。一般に結晶形の違いは、ラマンスペクトルの違いから同定することが可能です。メフェナム酸の場合、各ラマンピークの位置はほぼ同じであるため、各結晶形をそれぞれのピーク位置だけで識別することは難しいですが、多変量解析手法のひとつである主成分分析を利用することで、各結晶形の識別と分布解析が可能となります。

(参考)ラマンスペクトル解析について

多変量解析手法のひとつである主成分分析は、スペクトルを強度と波数の多次元データとしてとらえ、データのモデル化を行うことで、イメージングデータに含まれる複数の成分スペクトルを分離する手法です。その際、スペクトル信号とノイズの次数因子が異なることを利用し、ノイズの少ない因子でデータを再構築することで、ノイズの除去を行うことも可能です。

RAMANtouch/RAMANforceが誇る350nmの空間分解能と、ライン照明による超高速イメージング機能と、主成分分析を組み合わせることで、ミクロオーダーで析出した薬剤結晶多形の検出に圧倒的な威力を発揮します。