紫外・深紫外ラマン顕微鏡 RAMANtouch vioLa

深紫外線が切り開く新しいラマンイメージング

顕微鏡は常に波長の選択との戦いです。波長によって最適な光学系は変わってきます。ラマン顕微鏡は光源に様々な波長を用いることができますが、これまで全ての波長で性能を維持することが困難でした。それは、光学系に用いるガラスが波長によって異なる特性を示すためです。

特に紫外領域(波長が400nmよりも短い光)では、ガラスの特性変化が顕著です。従来のラマン顕微鏡はその性能劣化を甘受してきました。それは紫外領域での観察というメリットが性能劣化のデメリットを上回っていたからです。

代表的な石英ガラスの屈折率

RAMANtouch vioLaが備える独自光学系

RAMANtouch vioLaは、紫外領域の観察というメリットのみを享受できます。これまでにない高効率で高い空間分解能での紫外観察は新しいラマンイメージングの世界を切り開きます。

RAMANtouch vioLaに搭載されている光学系の一部を紹介します。通常スキャン光学系では、レンズ対によって光を曲げていますが、RAMANtouch vioLaでは、反射屈折光学系と呼ばれる光学系で、レンズ対の代わりに反射鏡と補正レンズにて光を曲げています。このおかげで、深紫外線でも精度の高いスキャンを行う事ができます。

この全く新しい光学システムは、JST先端計測プロジェクトの成果であり、大阪大学河田聡研究室との共同研究により開発されました。

UV Applications

紫外線での観察はこれまでのラマン観察では得られなかった情報を得ることができます。紫外線は様々な物質で侵入長(光が届く距離)が短いために、表層のみの情報を得ることができます。また、蛍光の影響を避けた観察が高い空間分解能で実現できたり、ワイドバンドギャップのフォトルミネッセンス(PL)観察が行えます。

観察事例1:6H-SiCの応力測定

SiCウェハーの表面応力を測定しました。光学顕微鏡像とラマンイメージを比較すると、光学顕微鏡で黒ずんで見える欠陥部分では引っ張り応力が生じており、反対に欠陥同士の間では圧縮応力が生じていることが分かります。325nmの波長ではSiCの最表面のみを観察することができました。観察には789cm-1のラマンシフトのピークを用いました。このピークは6H-SiCのFTO(2/6)E2に該当します。

観察事例2:InGaNの微小構造からのPL発光

GaN基板の上に成長させたInGaNの微小アイランド構造からの発光をイメージングしました。成長のさせかたによってPL発光の変化がイメージングされています。新設計の光学系により325nmから500nmという広い波長域でのイメージングが行えています。

ナノフォトンの新レンズ sumilé

顕微鏡には必ず対物レンズが必要になります。深紫外領域の観察では、専用に設計された対物レンズが必要となりますが、ナノフォトンでは広い波長域に対応した、高N.A.(開口数)を実現する対物レンズを新開発しました。

深紫外領域を含む広い波長域で高いN.A.を実現するために、合成石英で満たされたシュバルツシルト型の反射光学系を用いています。高いスループットと高N.A.を同時に実現した全く新しい対物レンズです。RAMANtouch vioLaと組み合わせることで、さらなる高速イメージングが深紫外領域で行えます。

主な仕様

レーザー波長257nm、266nm、325nm、355nm、405nm、457nm、488nm、532nmほか
レーザー照射方式ポイント照明 / ライン照明
分光器の焦点距離550mm
グレーティング300、600、1200、2400、3600 g/mm
検出器電子冷却CCD 1340 × 400画素、ほか
オプション・ピンホール測定
・高精度ピークシフト測定機能
・冷却加熱ステージ

本体寸法と重量

サイズ (W x H x D)        詳細後日発表                             
重量詳細後日発表