広視野ラマンスコープ RAMANview

RAMANviewとは

実体顕微鏡で使われる広視野対物レンズに最適化した光学系を搭載。
広視野ラマンスコープRAMANviewは、ラマンイメージングの適用範囲を大きく広げました。

唯一無二のパフォーマンス

「超広視野」「深い焦点深度」「高空間分解能」「超長作動距離」ーー
コンパクトな筐体に秘めた4つのバリューが、多彩なラマン分光分析を可能とします。

センチメートルの広視野を、ラマン分光で見る。

実体顕微鏡の対物レンズに最適化した光学系を搭載したRAMANviewは、極めて広い観察視野を備えます。1cm以上の大きな試料でも、全体像をしっかり観察して測定部位を選択。電動ステージによる時間のかかるイメージングではなく、超高速なレーザービーム走査を採用し、大面積観察と高速性能を完璧に両立させました。

左)ダイヤモンドやすり(試料)と測定部位。
右)広視野ラマンイメージ。

対物レンズの倍率と、イメージング視野の関係

ピント合わせを不要にする、深い焦点深度。

RAMANviewの焦点深度は、約1.8mm(0.5倍対物レンズ使用時)。試料表面に1mmや2mmの高低差があっても、ピント合わせを気にせずラマンイメージングできます。この深い焦点深度は、バルク測定にも威力を発揮。測定場所によるバラツキや、ポリ袋などの薄い層の影響を受けずに、バルクのスペクトルを得ることができます。

深い焦点深度をいかしたイメージング例

左)錠剤の外寸。右)錠剤側面のラマンイメージ。

対物レンズの倍率と、焦点深度の関係

顕微ラマンのレベルに迫る、高い空間分解能。

高い空間分解能が求められる分析シーンでは、高倍率レンズが威力を発揮します。右のデータは、直径1ミクロンのダイヤモンドビーズを2倍の対物レンズでイメージングしたデータです。点線に沿ったピーク強度プロファイルより、2.5ミクロンの空間分解能が発揮できていることが分かります。局所領域の微粒子のイメージングや数%の低含量物質の検出も、RAMANviewなら簡単に測定できます。

RAMANviewの空間分解能評価

4H-SiC 6H-SiC

測定シーンを広げる、超長作動距離。

RAMANviewの作動距離は約7cm(0.5倍対物レンズ使用時)。深い容器の底にある試料にもレーザービームが届くため、ラマン分光測定の適応シーンをさらに広げます。レンズから測定面までの距離がゆったり取れるため、サンプルと対物レンズがぶつかる心配もありません。窓材越しの測定や容器の中身の測定にも対応できます。

高さ45mmのバイアル瓶に入った試料の測定

左)RAMANviewなら余裕たっぷり。
右)顕微ラマンでは破損の恐れあり!

対物レンズの倍率と、作動距離の関係

新たに広がるアプリケーション

広視野ラマンスコープ RAMANviewは、ラマンイメージングの空間スケールの常識を変えます。
そこには、まったく新しいアプリケーションの世界が広がります。

錠剤の高速ラマンイメージング分析

表面に1mm程度の高低差(カーブ)がある錠剤表面のイメージングは、まさにRAMANviewが得意とするところ。およそ1cm角の範囲を、わずか14分でラマンイメージングできます。0.5倍のレンズを使えば焦点深度はさらに深くなり、錠剤側面のイメージングも可能です。

左図の測定条件

励起波長532 nm
対物レンズ1x
画素数202 x 202 pixel
測定14 min

右図の測定条件

励起波長532 nm
対物レンズ0.5x
画素数99 x 192 pixel
測定8 min

湾曲した錠剤表面と側面の高速ラマンイメージング

Φ10.5mm ΔH1.1mm

ブリスターパック内の錠剤の測定もOK!

ブリスターパック内の錠剤は表面を削ってフラットにすることができません。固定もできないのでわずかな振動で揺れてしまいます。RAMANviewの深い焦点深度とレーザービーム走査なら、そんな条件下でも測定が可能です。

励起波長532 nm
対物レンズ1x
画素数202 x 202 pixel
測定14 min

錠剤の高精細ラマンイメージング分析

成分の分布をきめ細かく観察したいときは、高精細イメージングモードでの測定がおすすめです。右に示したデータは、2種類の解熱鎮痛剤の表面を、高精細ラマンイメージングしたデータです。高速イメージングモードに比べると測定スピードは落ちますが、高い空間分解能で広範囲にわたる成分分布をはっきりと観察できます。特定の成分に着目して、粒径解析を行うこともできます。粒子一つひとつを楕円で近似し、長辺と短辺のヒストグラムなどを算出することができます。

解毒鎮痛剤2種類の高精細ラマンイメージング

製剤中のカフェイン(製剤AとBでの比較)

楕円率ヒストグラム

面積ヒストグラム

製剤中の含量1%のAPIの検出

0.5mg錠におけるAPIの分布をイメージングしたデータです。RAMANviewの2倍対物レンズは、高い空間分解能と広い測定視野を兼ね備えており、製剤中にわずかに点在する物質を逃さず検出することができます。

ポリ袋に入った粉末の分析

深い焦点深度はバルクの測定に最適です。ポリ袋のような薄い容器に入った試料の測定では、容器由来のピークをほとんど含まないバルクのスペクトルが得られます。もちろん、イメージング分析も簡単にできます。

樹脂成形品の結晶化度の分析

ポリエチレンテレフタレートは結晶化度により1720cm-1付近のピーク(C=O)の半値幅が変化します。上の画像は、ペットボトルのネジ口から胴体部分にかけての結晶化度の違いを可視化したものです。

稲田花崗岩表面の成分分布観察

ラマンスペクトルから、赤色の部分が石英、青色の部分が黒雲母、緑色の部分が長石であることがわかります。 岩石における化学組成を分析することで、変質や侵食をセンチメートルオーダーで捉えられます。

※このサンプルは大阪大学の中嶋悟教授よりご提供頂きました。

SiC結晶中の多形分布観察

SiCの結晶多形の分析例です。4H-SiC結晶上に成長させた4H-SiCと6H-SiCが観察されています。RAMANviewを用いると比較的サイズの大きな結晶やデバイスであっても、全体を一度に測定することができます。

ダイアモンドの結晶品質分析

ダイアモンド工具の分析例です。ダイアが1330cm-1にシャープなピークを持つのに対し、人工ダイア中のアモルファスカーボンは、ブロードなピークを持ちます。大面積のDLC膜の分析へも応用が可能です。

洗練を極めたデザインと操作性

そこに洗練された機能があることを示す、クリアなプロポーションとカラー。
ミニマムに絞り込まれたボディは、温度変化に左右されない高精度なスペクトル測定を可能としました。

デザインの追求が生んだ優れたユーザビリティ

おもな仕様・性能と価格

高い基本性能を発揮する高品質な532nmのレーザーと、蛍光回避に有効な671nmをラインナップ。
ラインナップ豊富な対物レンズで、多彩な分析シーンに対応できます。

おもな仕様

レーザー波長532 nm, 671 nmから選択
対物レンズ0.3倍, 0.5倍, 0.8倍, 1.0倍, 1.6倍, 2.0倍から選択
照明LEDリング照明
分光器の焦点距離350 mm
グレーティング600 g/mm, 1200 g/mm, 1800 g/mm, 2400 g/mmから選択

おもな性能

対物レンズ 0.5倍対物レンズ 1倍対物レンズ 2倍
視野(顕微鏡像)25.6 x 34 mm12.8 x 17 mm6.4 x 8.5 mm
ラマン画像測定範囲25 x 25 mm12.5 x 12.5 mm6.2 x 6.2 mm
空間分解能12 µm6 µm3 µm
スペクトル測定範囲100~3200 cm-1 ※ (オプション50 cm-1~)
スペクトル分解能(FWHM)3 cm-1@2400 g/mm, 
5 cm-1@1200 g/mm, 
9 cm-1@600 g/mm
スペクトルピクセル分解能1 cm-1@2400 g/mm,
2 cm-1@1200 g/mm,
4 cm-1@600 g/mm,

本体寸法と質量

サイズ(W×H×D)300 × 610 × 720 mm (ペースプレート含む)
質量35 kg (ペースプレート含む)