会長室からChairmans Office

第27回会長室から

『地産地消』


最近、日本各地の老舗温泉旅館が、次々とリゾート格安旅館の全国チェーンに買収されています。以前より破格の料金で宿泊できて、食事も安くてご馳走です。しかし、私は正直言ってあまり魅力を感じません。遠く離れた温泉地に行くのは、温泉と景色だけではなくて、地元で採れた魚や肉、野菜を調理した料理を楽しみたいからです。よそでは味わえない郷土料理を楽しみたいのです。全国チェーンのリゾート格安旅館の料理に出てくるのはおそらく養殖の魚なので、自然の餌で育っていないことも食欲をそそらない理由です。

いま隣国では、日本からの水産物の輸入を100%禁止しています。しかし、魚が乱獲されるよりは、輸出入規制で魚の捕獲量と消費量が減るのは良いことかもしれません。やはり魚は現地で食べるのがいい。

グローバリゼーションは、世界の人たちの地域格差を小さくしてくれました。今では、世界のどこにいても(一部を除いて)、安く安全に物資が届くようになりました。世界のどこにいても、他の地域の人と同じ情報を瞬時に得られるようになりました。AmazonやGoogleなどのお陰です。グローバル化は、それまでの産業構造を大きく変えました。

でも、私は「いつでもどこでも同じ」と言うグローバル・サービスに退屈しています。少々不便でも少々高くても「他と違う」サービスを受けたいのです。香川に行って食べる讃岐うどんが東京で食べる讃岐うどんと同じなら、感激しません。「551蓬莱」の豚饅は、地方(含む、東京)では売ってないから伊丹空港も新大阪も長蛇の列です。それでいいんです、全国展開しないでください。

原発のあるところは、為べからず風光明媚でです。そして地元の魚が美味しい。浜通りのヒラメ、柏崎のノドグロ、女川のサンマ、若狭のサバだそうです。輸出などせずに日本で消費しましょう。

ラマン顕微鏡も、国産品が新鮮で安全です。先日の展示会JASISで、お客さんから日本製だから安心だと言っていただきました。世界で唯一のラマン顕微鏡メーカーのナノフォトンの製品は、日本で育てて、日本から販売しています。

地産地消、よろしくお願いします。

2023年9月11日
ナノフォトン株式会社
代表取締役会長兼社長 河田 聡