Founder's Note
2025年5月8日木曜日、東京虎ノ門にBruker-Nanophoton Raman-IR Imaging Centerがオープンしました。ナノフォトンの東京ショールームを改装し、これまでよりずっと広くなったイメージセンターには、各種ラマン顕微鏡とIR顕微鏡が並んでいます。ユーザーの方々にはラマン顕微鏡と赤外顕微鏡の両方を試して、楽しんでいただけます。ラマン顕微鏡と赤外顕微鏡の両方を使って各種の先端材料の測定ができるセンターは、世界でおそらくここだけ、唯一だと思います。
オープニング・イベントでは、Bruker OpticsのPresidentのAndreas Kamlowski、ナノフォトン創業者でCSOの私、Bruker OpticsのVice President Global SalesのChristianWerner、そしてBruker JapanのOptics事業部長の嶋田茂からそれぞれご挨拶させていただきました。その後、ナノフォトンのSales Managerの源 泰寛からナノフォトンのラマン顕微鏡、嶋田茂からブルカーの赤外顕微鏡の紹介と他社との違いなどのレクチャーがあり、実際の装置を使っての実演が行われました。そして、軽食とドリンクのレセプションが開催され、ラマンと赤外の仲間のネットワークを広げることができました。
ラマン顕微鏡と赤外顕微鏡でそれぞれ世界をリードしてきたナノフォトン社とブルカー社の装置が一同に並ぶイメージングセンターが実現できたのは、もちろんブルカー社とナノフォトン社が合併したことによります。
私のバックグラウンドである「科学」において、その進歩を阻む最大の障害は分野間の壁です。物理、化学、生物、数学などを分断する壁は、科学の進歩においては弊害でしかありません。電気工学、機械工学、材料工学などの壁も同じです。これからは分野の壁を壊して、一段高いところから科学の未来を創ることが、いま求められています。マイケル・ギブソンは新しい状態をモード2と呼び、そこに生まれるサイエンスはTrans-disciplinaryであると言いました。Inter-disciplinary(学際)は、もはや時代遅れなんです。企業においても、役所的なビューロクラシー(官僚主義)による縦割り・横割りのセクショナリズムは、成長を阻む最大の障害です。ナノフォトンは、これら壁を取っ払うべき『爆薬』の役割を求められているのかもしれません。
会社の合併は『結婚』と同じだと思います。結婚とは、夫婦が互いにそれぞれの人格や個性、趣味、そして現在の仕事や過去の人生の違いを認め合うことから始まります。合併によって、ナノフォトンは戸籍上はブルカーになりますが、ナノフォトンのブランドやロゴや装置の名称はM&A時の合意に基づき今まで通りです。いわば夫婦別姓です。
結婚の象徴として、私たちはナノフォトンのアイデンティティであった白一色のソリッドなデザインに、ブルカー・ブルーのラインを入れました。
両社の統合とRAMAN-IRイメージングセンターの発足は、私たちのみならず、ユーザーの皆さんにとっても喜ばしいことであって欲しいと願っています。これから始まるナノフォトンとブルカーオプティクスのコラボレーションにご期待ください。
ナノフォトン創業者、CSO, and Head of CoE
河田 聡



