会長室からChairmans Office

第13回会長室から
『学会発表』


春の応物学会の講演会の一般講演のセッションで、新しい研究成果を発表しました。「モンテカルロ顕微鏡」というタイトルです。

プログラムを見た方々たちに「定年退職されたのに、まだ学会発表されるのですか?」と驚かれてしまいました。科学に定年も年齢は関係ない、と思っています。若い人には体力があり、年長者は過去の成功体験、失敗体験に囚われがちだといわれます。でも、私はひとそれぞれだろうと思っています。若くても古い概念に囚われるひともいれば、年長でも柔らかい発想を持つひともいます。若手に研究支援をするべきだとか、65歳になると後進に道を譲るべきだという考えは、偏見から来る差別ではないかと思っています。人それぞれで生き方が違っても構わないのではないでしょうか?黒人は犯罪を犯すから白人と同じ電車に乗ってはいけない、男は痴漢をするから女性専用車両に乗ってはいけない、有名な科学者は無名な人よりも優れた成果を発表する、そんなことはありません。学会とは、年齢や地位に関係なくそれぞれが新しい発見や発明、成果を発表して、みんなと共有する場だと思います。

国の競争的研究費の助成も、応募者の年齢や所属、出身、性別、地位とは関係なく、純粋に科学的見地からのみ審査されてはしいと願います。チャールズ・ペダーセンさんのノーベル賞化学賞受賞となったクラウンエーテルの発見は若い頃の成果ではなく、彼が57歳の頃の成果(63歳の時に論文発表)です。さらに彼は博士号を持たない科学者でした。かつ日系人(母親が日本人)でした。

私も年齢とは関係なくこれからも科学を楽しみ、会社では独創的な製品を開発したいと思っています。ナノフォトンは国際的知名度も資金も歴史も足りない弱小会社ですが、これからも世界初、世界唯一のラマン顕微鏡製品の開発を続けて、市場に評価、信頼していただけるよう努力していきます。ご支援をよろしくお願いします。

2019年5月
ナノフォトン株式会社
代表取締役会長  河田 聡