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メルマガ第10号
「科学者の会社」であるナノフォトンに、今年は2人の若手が加わりました。それぞれ理工学研究科化学専攻で修士号、理学研究科宇宙地球科学専攻で博士号を取得しています。いずれもサービスを担当し、納品や定期点検、修理などを担います。2人を紹介します。
サービス担当、島端要典さん
サービス担当の島端要典さん(27)は、関西学院大学大学院理工学研究科化学専攻で修士号を取得後、分析機器のメンテナンスを行う企業に就職。約2年後の今年5月、ナノフォトンに転職しました。
──大学ではどんな研究を?
生命の最小単位である細胞にものすごく興味を持ち、それを生きたまま測れる分光分析という技術があることに感動しました。学部4年の時、細胞と分光分析の両方ができる研究室が新設されるというので、そこに入りました。何も装置がない状態からのスタートです。修士課程も含め1年半くらいかけてラマン分光装置を構築し、生きた細胞の温度測定などを試みました。
──そして就職し、約2年で転職を決意しました。
ラマンに強い会社に就職したものの、ラマンや分光分析とは関係ない担当でした。そのような中、日々業務をこなしていましたが、自分が本当に何をしたいかを考えると、どうしてもラマンに戻るのです。
規模が小さい企業が性に合っていると思い、転職を決意してナノフォトンの面接を受けました。新卒の時からナノフォトンに関心があったのですが、ナノフォトンは社員を募集していなかった上、数百人規模の会社だと思い込んでいました。
──入社して、どうですか?
最高ですね。発想力や仕事の速さ、ラマン分光に関する知識の量など、メンバーのレベルが高い。また、責任を持って自分の仕事をする方しかいません。
──担当はサービスですが、大学では装置の構築や分析をしていたのでは?
私には、分光分析のプロフェッショナルになるという目標があります。転職前の担当は分析でした。分析だけ、製造だけでは視野が広くならないので、サービスと営業をやりたいと面接で希望したんです。市場のニーズは外に出ないと分かりません。サービスは装置の中身をより具体的に知ることができます。ラマンについていろいろと知りたいんです。
──分光分析のプロフェッショナルの他に、将来やりたいことはありますか?
バイオ系、特に細胞に特化した革新的なラマン分光装置を作りたいですね。
サービス担当、森藤直人さん
同じくサービス担当の森藤直人さん(28)は、大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻で博士号を取得し、今年4月に入社しました。
──大学では何を学んでいましたか?
学部で生物を学び、大学院から分野を変えて地球科学専攻に。油田に興味を持っていたため、大昔の環境を模擬する「熱水その場観測用セル」という容器を設計し、粉状にした岩石や微生物そのものを入れて200度の熱水環境での変化を赤外顕微鏡などで観測したりしました。珪藻(けいそう)という微生物は石油の主な起源生物であると言われていて、実際に珪藻から石油のような物質になる過程を見たかったのです。
──ラマン顕微鏡も使ったのですか?
研究室にラマン顕微鏡はありましたが、レーザー光のパワーが強すぎるなどの事情で本格的には使えませんでした。珪藻は立体構造がとても複雑で、ナノフォトンのRAMANtouchを使ったらもっと詳しく調べられたかもしれません。ラマン顕微鏡が使えたらなあと思っていました。
──ナノフォトンへはどのような経緯で?
ずっと取り組んできた分光に関わる仕事をしたいと考えていると、研究室の教授が「すごい分光器を作っている会社がある」と。構造が複雑で規則性がない岩石を高い分解能でマッピングできる。かつ深さ方向にも分解能が高い。岩石や化石、隕石を調べるのにうってつけな顕微鏡だと言われました。
──それで応募したのですね。面接はいかがでした?
サービス担当で採用しても、将来は製造や開発などでも働いてもらいたいと言われました。いろいろなことができるポテンシャルを感じ、入社を決める決め手となりました。今、サービスの他にも部品の組み立てや開発会議への出席などいろいろなことに関われています。大きな喜びです。
──将来はどんなことがしたいのですか?
日本の研究環境が良くなるように貢献できたらと考えています。研究者は忙しいので、手軽に高度な測定ができる装置の開発も重要です。ナノフォトンなら企業や大学の研究のサポートができると考えたのも、入社を決めた理由の1つです。
2人とも「分光分析のプロフェッショナルになりたい」「日本の研究環境が良くなるように貢献したい」と夢を語ってくれました。ナノフォトンの未来を支える人材に育ってくれると思います。ひいては、日本の科学技術を支える人材にもなるでしょう。さらなる成長に期待します。(メルマガ編集長・根本毅)