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秘書インタビュー
河田会長はどんな方?


 ナノフォトンの河田聡・代表取締役会長兼社長には、2人の秘書がいます。下出愛さんと鳥羽信根さん。2人とも河田会長が大阪大学教授だった時からの秘書で、下出さんは20年前、鳥羽さんは10年前に採用されました。その2人の目には、河田会長はどのように映っているのでしょうか。ずばり、聞きました。(メルマガ編集長/フリーライター・根本毅)

ナノフォトン会長秘書の下出愛さん(左)と鳥羽信根さん

──下出さんが秘書になった2001年当時、河田会長は大阪大学工学部応用物理学科教授でした。下出さんは秘書の前は何を?

下出 Macのカスタマーサポートセンターで、英語のお客様に対応する担当をしていました。毎日、電話越しでクレームばかり言われると、やっぱり気が滅入るんですよね。「このままでは……」と思っていたところ、いつも読んでいたジャパンタイムスに大阪大の河田研究室の秘書募集が載っていました。

──英語で載ってたんですか!

下出 そうです。河田先生は英語ができる人を探していました。私の取り柄は英語です。それで、書類が通って面接に行くと、河田研究室のパソコンがすべてMacだったんです。その点でも私は重宝されたのだと思います。

 当初は週3回のパートタイムで働いたのですが、ちょうどその頃にメインの秘書が退職することになり、フルタイムでの勤務が始まりました。

──研究室はどんな印象でした?

下出 ずっと会社勤めをしてきたので、大学の職場は新鮮でした。会社みたいに数字を追いかけてないから、自由な雰囲気があって。研究って夢があることですよね。先生も乗りに乗ってましたし、会社にいた時より楽しくて楽しくて。

──秘書としてどんな仕事をしたのですか?

下出 秘書室には常時5~6人の秘書がいて、私は先生のスケジュール管理や出張の手配、来客対応などの担当をしていました。執筆や講演、マスコミ取材の依頼もたくさん来て、先生はすごく忙しかったですね。2002年から理化学研究所の主任研究員を兼務して、2003年にナノフォトンを創業し、2004年にはミクロの牛でギネスブックに載って、2007年に紫綬褒章を受章して……。

──ギネスブックというのは、レーザーで作った世界最小の彫刻作品ですね。

下出 そうです。これです。

ミクロの牛が掲載されたギネスブックを示す下出さん

──ナノフォトンの創業時はどんな感じでした?

下出 私はナノフォトンの立ち上げには関わってなくて……。先生は新しいことを始めるのがお好きで、見ていて楽しそうでした。

──鳥羽さんは2011年からですね。どのような経緯で?

鳥羽 私は工学研究科長室の秘書だったんです。任期満了で次の仕事を探している時に、河田先生がセンター長を務められていた大阪大学フォトニクスセンターの秘書募集をたまたま見つけました。ちょうどその日に河田先生が工学研究科長との面談のために来られて、秘書室を通られた時に「今だ」と思ってお声かけしました。すごいグッドタイミングでした。運命ですね。それまでも、工学研究科長室に来られた時にお声をかけてくださっていたので、とても気さくで話しやすい教授という印象でした。

自分の席でパソコンに向かう鳥羽さん

──河田先生はどういう方ですか?

下出 科学者だけでは収まりきらない人です。多彩すぎて、「頭の中はどうなっているんやろう」といつも思っています。昔からおすし屋さんをやりたいとおっしゃっていて、いつか本当にするんじゃないでしょうか。先生の握ったおすし、食べたいですね。

鳥羽 本当に忙しい方です。私が採用された当時は、スタンフォード大学に2カ月間のサバティカルに行かれていて、毎日、パソコンのテレビ電話でつないでやりとりをしていました。コロナ禍前までは、国内、海外問わず出張がとても多くて、会議に入ったら何時間でもずっとお話しをされていて、とてもエネルギッシュです。

──ずっと忙しくて、息つく暇もなかったんじゃないですか。

下出 そうですね。今はコロナ禍で出張ができなくなって、時間ができましたけど。コロナがなかったら、ずっと走ったままだったかな。でも逆に、先生は休みの日になったら風邪をひくんですよ。だから、今の状況はよくないと思っています。コロナが早く明けないと、先生の健康が保たれません。

鳥羽 休まれている先生のイメージが浮かんでこないですね。忙しいのに健康面にもちゃんと気を付けられていて、阪大の時は片道5kmを歩いて出勤されていましたし、今のオフィスに移転してからも往復5kmほど歩かれています。週1回のジムでのパーソナルトレーニングも欠かしません。

インタビューに答える鳥羽さん(左)と下出さん

──ナノフォトンの話をしましょう。

鳥羽 でも、私たち、新人なんです。私は2019年4月からで、下出さんは2020年1月から。新しいことに挑戦している2人です。

下出 鳥羽さんはナノフォトンの労務や経理、採用窓口などの総務関係を担当し、会長のスケジュールも管理しています。国内のメールを会長と同時に受け取って、国内会議や講演、学会などのサポートをしています。かなり忙しいと思います。

鳥羽 下出さんは今、ナノフォトンの取締役会や経営会議の出席し、開催案内や議事録作成、社内での議事録公開などを担当してます。会長宛の英語のメールを会長と並行して処理し、海外の講演や執筆、河田会長が副会長を務める米国光学会などの国際会議に関する仕事もサポートしています。

下出 先生が何かの取材で「まだまだアイデアを思いつく」と話されたことがあります。寝てても、アイデアが浮かんだらその場でメモを取るというんですね。たぶん、今もそうで、やりたいことがたくさんあるんだと思います。先生は今、情熱をすべてナノフォトンに注いでいます。先生にとってナノフォトンは、夢を実現するファクトリーなんだと思います。