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レポート 
レーザーラマン顕微鏡の実演セミナーを実施


 ナノフォトンは6月17日(金)、大阪ショールーム(大阪府箕面市)で「2022年度第1回実演セミナー」を開きました。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、2019年以来3年ぶり、新設の大阪シールームでは初の対面開催です。製薬など4社の担当者にラマン顕微鏡4機種の性能や使い方を実際に見ていただきました。参加者は説明に熱心に耳を傾け、たくさんの質問もしてくださったため、セミナーを担当したナノフォトンの社員は確かな手応えを感じていました。実演セミナーは今後も開催します。約4時間に及んだこの日のセミナーをレポートします。(メルマガ編集長/サイエンスライター・根本毅) 

レーザーラマン顕微鏡RAMANtouchの機能について質問するセミナー参加者(右)

「超高速イメージングで仕事改革!」

 セミナーのテーマは「超高速イメージングで仕事改革!なぜみんながナノフォトンを選ぶのか?」。講演や実演は、ナノフォトンセールス&アプリケーションズの足立真理子・シニアエンジニアが担当しました。

 まずはパワーポイントを使い、ナノフォトンの会社説明やレーザーラマン顕微鏡の基礎知識などの講義です。しばらくは座学に耐えていただきました。

 さらに、ナノフォトンの製品群と「何が測定できるのか」の説明です。たくさんの測定例を示して解説していたため、分かりやすかったのではないでしょうか。

 例えば、「レーザーラマン顕微鏡を一言で言うと、『ケミカルイメージが見られる光学顕微鏡』」と説明した上で、ある社員の口腔粘膜のラマン画像を示しました。ラマン顕微鏡を使えば、タンパク質や脂質を分子構造の違いなどで判別し、コンピューターの画面上に色分けして表示できます。足立シニアエンジニアは「試料は光学顕微鏡で見られる大きさであれば、そのままでOK。前処理不要です」と話しました。

 このほか、紹介された測定例は
「超高速グラフェンの層数分布イメージング」
「太陽光にさらされたポリ塩化ビニルの黄変部位のラマンスペクトル」
「リチウムイオン電池充電前後での高分解能ラマンイメージング」
「ペットボトルのネジ口部分周辺の結晶性分布のイメージング」
「シリコンカーバイド基盤の表面応力イメージ」
「ティーバッグの繊維の配向分布のイメージング評価」
など盛りだくさん。こうした測定例を通じて、「ラマン分光分析で何が分かるか」を伝えました。

 その後、「ラマン分光分析で分かる5つのこと」や「ナノフォトンが選ばれる理由」「ラマン顕微鏡を選ぶポイント」などを詳しく説明して、座学は終わり。いよいよ実演です。

<ラマン分光分析で分かる5つのこと>
1.物質の同定(異物分析、分布分析)
2.分子構造の変化
3.結晶性
4.応力
5.配向性

<ナノフォトンが選ばれる理由>
1.レーザービームスキャン ~高い操作性~
2.高い空間分解能
3.超高速イメージング ライン照明
4.分光性能が高く、わずかな応力を測定できる
5.最高の検出感度
6.さまざまなニーズに対応する多彩な測定モード
7.メンテナンスフリーの高安定システム

4機種で実演

 実演では、大阪ショールームに常設された「ランダム走査コンフォーカル・ラマン顕微鏡RAMANwalk」「レーザーラマン顕微鏡RAMANtouch」「ウエハーステージ搭載ラマン顕微鏡RAMANdrive」「広視野ラマンスコープRAMANview」の4機種を使い、さまざまなサンプルを測定しました。

 最初にRAMANwalkです。遮光カバーを下げると、正面だけでなく左右からもステージにアクセスできます。凹凸があるサンプルのZTrack機能を用いた表面イメージングや、レーザー波長を変えることで蛍光を抑えた測定ができることなどを実際に示しました。

RAMANwalkを説明する様子

 次はRAMANtouchです。搭載された「ライン照明」は、レーザービームを線状に引き伸ばして試料に照射し、400点からのラマン散乱光を同時に検出して、高速測定を実現しています。また、ライン照明を利用するエリアフラッシュという機能の便利さも実感してもらいました。

RAMANtouchの説明

  RAMANdriveは、最大30㎝のウエハーのラマンイメージが短時間で得られます。実際に、30㎝のウエハーをステージにセットし、その場で全体像を観測しました。座標ナビゲーション機能を用いた異物分析も実演しました。

RAMANdrive

  最後に、RAMANview。錠剤のように大きな試料でも全体像を観察でき、表面に高低差がある試料の測定も得意です。

RAMANview

プログラムになかった実演も

 非常に密度の濃い実演セミナーだったと感じました。それも、ナノフォトンのラマン顕微鏡は高速に測定できるため、待ち時間が短くてすむためでしょう。参加者のリクエストで、応力イメージングや特殊対物レンズなどプログラムになかった実演も行いました。

 参加者の1人は「会社では13年前に購入した他社製品を使っています。今回、実演を見て、きれいなマッピングなど性能の良さに衝撃を受けました。少人数のセミナーだったので、知りたいことを自由に質問することができ、満足しました」と話していました。

今後も開催

 実演セミナーは今後も開催する予定です。ナノフォトンのラマン顕微鏡に関心のある方は、ぜひご参加ください。