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受賞のお知らせ
河田聡会長が第7回光工学功績賞(高野榮一賞)を受賞しました
この度、弊社の河田聡会長が、ナノ光学・分光学における永年にわたる研究開発と国内外の光学界への貢献が認められ、第7回光工学功績賞(高野榮一賞)を受賞することとなりました。
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業績 ナノ光学・分光学における永年にわたる研究開発と国内外の光学界への貢献
表彰委員会よりコメント
河田 聡氏は,1981年大阪大学工学部助手に奉職し,1993年には同大学教授に昇任,その後,2002年理化学研究所主任研究員,2010年理化学研究所チームリーダを歴任するとともに,2003年ナノフォトン(株)を創業し代表取締役会長に就任しています.さらに,2015年理化学研究所名誉研究員,2017年大阪大学名誉教授の称号を授与されています.
1980年代後半,走査型トンネル顕微鏡の登場によりナノテクノロジー分野が世界の研究者の注目するところとなり,光学の分野でも回折限界を超える近接場光学顕微鏡の研究開発が鎬を削っていました.当時は,先鋭化光ファイバーの先端を微小開口とする顕微鏡がほとんどでしたが,これに対して河田氏は,1992年に金属探針を用いた局在化表面プラズモンによるナノ光スポットの形成原理を用いた非開口近接場光学顕微鏡を提案し,一躍注目されるところとなりました.この顕微鏡は,ナノメートルの分解能と電場増強による信号強度の大幅な向上をもたらし,先端増強ラマン顕微鏡の開発に繋がっていく成果となるとともに,現在大きな分野となっているプラズモニクスの分野の創出に貢献しました.
分光学分野においても,数多くの独創的かつ先駆的研究開発があり,機械的走査のない表面プラズモンセンサ,近赤外マルチチャンネルフーリエ分光法,機械的及び電気的機構を有さないスペックル軽減装置などがあります.さらに,光学・フォトニクス分野では,2光子重合による3次元微細造形技術,エバネッセント場及び表面プラズモンの放射圧とその応用,プラズモンホログラフィー,金属ナノレンズ,深紫外ラマン顕微鏡,ナノ構造・メタマテリアルの自己成長法などの独創的研究成果を世界に先駆けて発表されています.また,河田氏は,2003年にレーザー顕微鏡の開発製造企業「ナノフォトン株式会社」を創業することで,これらの研究成果の社会還元を積極的に進めています.
河田氏は,2005年日本分光学会会長,2014年応用物理学会会長,さらに,学術審議会,文化審議会などの委員を歴任するとともに,2022年には米国Optica会長に就任し,世界の光学コミュニティーをリードし,これらの活動を通した光工学への貢献は極めて大きいと考えられます.
以上のように,河田氏は一貫して光学・分光学,とりわけ顕微鏡・分光分析・ナノフォトニクスの分野で,類い希な研究成果を多数挙げ続け,起業を通してその成果を社会還元するとともに,光学コミュニティーにおける世界的な活躍を通して光工学の発展に大きく貢献しており,光工学功績賞受賞者にふさわしいと認められます.
記念講演のお知らせ
この度の受賞に際し、2024年第71回応用物理学会春季学術講演会において、河田会長が受賞記念講演を行います。ご興味のある方はぜひお越しくださいませ。
日時:2024年3月22日(金)9:30am~10:00am
場所:東京都市大学世田谷キャンパス 1BN会場(Room 1BN)
テーマ:「近接場光学とプラズモニクス」