メールマガジンEmail Magazine

レポート
社内向けナノフォトンセミナーを開催しました


 ナノフォトンでは、様々な分野の研究者の方をお招きしたセミナーを定期的に開催し、常に最先端の研究や技術に対する知見を深めています。今回は、学習院大学 教授の『齊藤 結花』先生を大阪ショールームにお招きして、「偏光ラマン分光の基礎と応用」というタイトルで講演を行っていただきました。(メルマガ編集/原田亮) 

熱心にお話される齊藤先生(中央)。セミナーには、河田会長はじめ技術メンバーだけでなく、営業部署のメンバーも参加して知見を深めました。

偏光ラマン分光の基礎と応用

ラマン分光において、入射光とラマン散乱光の偏光は、重要なパラメータの1つです。ラマンスペクトルは、入射光と検出するラマン散乱光の偏光方向の組み合わせによって変化します。この性質を利用することで、分子や結晶の配向性を分析できることが知られていますが、この本質は何でしょうか?

講演では、まず導入として四塩化炭素(CCl4)と四臭化炭素(CBr4)のラマンスペクトルを例にとり、形が同じ分子のラマンスペクトルは(ピーク位置を除いて)同じになる、つまりラマンスペクトルは分子の形を表していると言っても良いことが示されました。そしてラマンスペクトルと分子の形の関係を数式で表したものがラマンテンソルであり、入射光と検出光の偏光方向の組み合わせを変えた実験を行うことで、ラマンテンソルに関する情報を引き出すことができる、との説明が続きました。

発展的な内容として、コヒーレントアンチストークスラマン(CARS)分光を利用した事例、当社のZ-pol(対物レンズの焦点に入射方向と同じ向きの偏光を作り出す偏光子)を利用した事例、さらに先端増強ラマン(TERS)顕微鏡におけるプローブ先端の偏光に関する研究についてもご紹介いただきました。

基礎から発展的な内容まで盛り沢山のセミナーで、大変勉強になりました。専門家ならではの視点で説明をしていただき、教科書を読むだけではわかりにくかった箇所も理解が深まったように感じました。

今回の学びを活かして、より良い製品開発を進めてまいります。